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2010

栄養強化済みワムシ

栄養強化済み高密度培養ワムシ


8日程前に孵化した大ペア組の仔魚たちも結構順調に育っており、冷凍ワムシ+ベトナム産アルテミアの組み合わせでもそこそこ飼育可能であることが実証された.


本日は中ペア組の3期目の孵化が予定されていたが、大部分の卵は無事孵化することができたようだ.今回も冷凍ワムシで実験してみようかと思ったが、ワムシ屋さんから栄養強化済みの高密度培養シオミズツボワムシと高密度培養ナンノクロロプシスが届いたので、早速仔魚達に給餌してみることにした.


栄養強化済みの高密度培養シオミズツボワムシの方は『クマノミ用栄養強化S型ワムシ』として売られているもので、200ml中の溶液中に約40万個体のワムシがびっしり詰まっているそうで、ナンノクロロプシス(所謂海産生クロレラ)などの不飽和脂肪酸生産珪藻溶液で栄養強化済みなので、そのまま仔魚に餌として与えることができる.


この商品は日持ちはしないが、仔魚の初期飼料として最初の1週間程度は活きたまま給餌できそうなので、自分でワムシの培養が間に合わなかった場合などには心強い商品だと思う.


今回はワムシ以外に高密度培養されたナンノクロロプシスも購入してみた.ナンノクロロプシスは種苗生産現場ではワムシ屋アルテミアの栄養強化剤としての利用以外にも、飼育水に直接添加することによって仔魚の生存率を改善する用途としても用いられている.


ナンノクロロプシスの冷蔵・冷凍濃縮された製品はクロレラ工業などから販売されているようだが、こちらは生のナンノクロロプシスのようだ.



8日経過して順調に育っている仔魚
孵化から8日が経過し順調に育っている大ペア組の仔魚(40期目)

中ペア組
孵化直前の中ペア組の卵(3期目)

栄養強化済みワムシとナンノクロロプシス
ワムシ屋さんから栄養強化済みワムシとナンノクロロプシスが到着

仔魚飼育ケース(左:中ペア3期、右:大ペア40期)
仔魚飼育ケース(左:中ペア3期、右:大ペア40期)

一晩経過
一晩経過後の仔魚(中ペア3期)

36時間経過(中ペア3期)


孵化から24時間は栄養強化ワムシを与え、その後はベトナム産のアルテミアをバイオクロミスで栄養強化したものを与えた.ベトナム産のアルテミアは孵化した直後にそのまま餌として与える分と、バイオクロミスで栄養強化するものとに分け、朝に孵化したてのものを与え、夕方にバイオクロミスで栄養強化したものを与えるようにしている.


アルテミアの栄養強化方法については孵化から24時間以上経過しないと経口投与の効果は薄いという説もあるようなので、孵化直後から数時間程度の栄養強化で果たして意味があるのかどうか判然としない.何もしないとアルテミアの幼生はどんどん大きくなって栄養素がどんどん消化されてしまうので、とりあえず栄養強化したものを与えている.


ちなみにベトナム産のアルテミアにはEPA成分が含まれているということらしいが、ソルトレーク産などに較べてどの程度多いのかは不明だが、とりあえず孵化直後の幼生のサイズは小さめなので仔魚の初期飼料としては最適なのかもしれない.



24時間経過後からアルテミアを与え始めた
24時間経過後からアルテミアを与え始めた(中ペア3期)

36時間経過
36時間経過(中ペア3期)


60時間経過(中ペア3期)


孵化から約60時間が経過し、餌のベトナム産アルテミアも順調に食べているようだ.写真に写っているアルテミアの小さな方が孵化したばかりの幼生で、それより細長く全体的に緑がかっているのが24時間前に孵化したアルテミアのようだ.


下記の写真は孵化したてのアルテミアとナンノクロロプシスをほぼ同時に投与し、30〜40分後に撮影したものなのだが、孵化から24時間経過したアルテミアの方は緑がかっているところを見ると、体内にはナンノクロロプシスが取り込まれているのかもしれない.孵化したての方は緑色に染まっていないところをみると、アルテミアが外部から栄養素を取り込むには孵化からある程度時間を置かなければならないのかもしれない.



60時間経過
60時間経過(中ペア3期)

ナンノクロロプシスを取り込んだアルテミア
ナンノクロロプシスを体内に取り込んでいるアルテミア

156時間(6.5日)経過
156時間経過(6.5日)