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2015

DENON DA-300USBのお粗末な電源

巷では “Hi-Resolution Audio” とやらがブームのようですが…


1週間ほど前に注文していたDENON製のUSB-DAC(ヘッドフォンアンプという位置付けかな)を予定よりも早く入手することができたので、付属品のACアダプタのノイズをオシロスコープで観察してみた.ノイズの測定方法としてはきちんとした手順に従ったものではないので、あくまでもノイズの様子を知るための簡易なものだ.スペクトルアナライザがあればノイズの周波数成分を観測できるのだが、オシロスコープによる単純な波形の観察だけでも、この付属ACアダプタの質の悪さは一目瞭然だろう.


DA-300USB
DA-300USBは “Hi-Resolution Audio” というコンセプトの筈なのだが…

AC-Adapter
如何にも安物という風情の付属のACアダプタ

AC-Adapter CloseUp
15V 1.0A 出力(実測値で 0.45A程度電流が流れていた)

Noise - NoLoad
無負荷状態(SW Off)でのACアダプタの出力波形 [ 5mV/div, 5ms/div ]

Noise - InOperation
電源SW Onでは電源部のノイズは悲惨な状態 (電源ラインを通じて周囲にノイズをまき散らしている)

この製品を新宿のヨドバシカメラで最初に実物を見た際に、電源部がスイッチング方式のお粗末なACアダプタを使っている事に驚くと共に、一体この製品がどういうコンセプトの下に開発されたのだろうかと疑問に思った.これを開発した技術者の人達は自分が一生懸命設計した製品がこんなアホな組み合わせで販売されていることに対して、さぞかし悔しい思いをしていることだろう.


勿論、私はこんな間抜けなスイッチング方式のACアダプタを使用する気など毛頭ないが、今回は予定よりも早く物が入荷してしまったので、電源トランス方式のシリーズ型安定化電源装置を準備する時間がなかった.


Hi-Fiオーディオに少しでも見識があればスイッチング電源を用いたオーディオ装置など論外な筈なのだが、あろう事かこの “Hi-Resolution Audio” 装置と名乗っているDA-300USBは数百円程度の中国製の安価なスイッチングACアダプタを付けて売っている.弱電系の知識が無い一般の人には、上記のオシロスコープのノイズ波形を見ても、それがどのような状態なのかピンと来ないかもしれないが、理想的なDC(直流)電源であれば、水平な横一直線の棒状の波形になって居なくてはならない.鋸の刃のような波形は全て電源のノイズ成分だ.24bits/32bitsのDAC分解能を問題にするHi-Resolution Audio の世界で、mVを超えるノイズ成分など有ってはならない事は今更言うまでもない事だ.


今ではトランス方式のACアダプタは皆無といって良い位見当たらないので、スイッチング方式のACアダプタしかなかったのかも知れないが、それにしてもこの商品を台無しにする愚行だ.勿論、内部の回路ではノイズフィルターなどでノイズ対策は行ってはいるだろうが、そんな余計な物は使わないことに越したことはない.小型化のためだけに電源部は外付けのACアダプタによる単一電源供給方式にしたのだろうが、内部で+/-電源を作り出すためにDC-DCコンバータを使っているとしたらノイズの上塗りだ.バッテリ駆動によるポータブルヘッドフォンアンプとして使えるならまだしも、据え置きタイプの中途半端なDAC(ヘッドフォンアンプという位置付けだろうか)という印象が拭いきれない.値段の割には良い音を出していると思うので、次期製品ではまともな電源を用意して欲しい.


【追記】秋葉原のラジオセンター1階の東栄変成器株式会社にトランス方式のACアダプタが数種類売られているのを見つけたが、最大でも500mA出力のものしか置いていないようだ.出力電圧は確認してはいないが、恐らく+15Vのような半端な物はないだろう.

先日、オンキヨーのFR-435というアンプの補修部品(リボンケーブル)を探していた所、”aitendo” さんと言うお店で売っていることを知り、仕事帰りにちょっと寄ってみた.店内に入ってまずその商品の品揃えの多さに驚くと共に、売っている商品の内容そのものに驚かされる.TVの液晶表示パネルやカーナビなどの電子機器の内部のパーツがモジュールとして売られている.店員が皆中国系の若いおねーさん達というのも異質で、ちょっとしたカルチャーショックだった.


最近のDENON製品に限らず、日本のオーディオ機器メーカーの大部分の製品は部品だけで無く、設計までも中国製の既成モジュールを組み合わせただけの安易な物が多いようだ.日本の大手オーディオメーカーも、すっかり骨抜き状態にされてしまったようだ.


兎に角こんな酷い電源を繋ぐわけにはいかないので、シリーズ方式の電源装置を自作する事にしようと思う.久しぶりに秋葉原にパーツ探しに行くことになるが、最近の秋葉原は元ラヂヲ少年達にとってもの凄く居心地の悪い場所になってしまった.最後の聖域であった筈のガード下まで変な人達(彼等から見れば我々も訳の分からないオジサン達に見えるのかな?)が入ってきて、最早風前の灯火状態だ.


小型のDAC用の高性能(高音室)電源を名乗る商品も出廻ってはいるが、5万円以上もするようなアホみたいに高価な物ばかりだ.電源装置の部品代などたかが知れている筈なのだが、ぼったくりも甚だしい.


株式会社エーワイ電子さんが、比較的安価な電源装置(15V2A 税込:16,200 円)を作っているので、DA-USB300を購入した(或いはこれから購入しようと思っている)人は検討してみては如何だろうか.このような熱いマインドを持った中小のメーカーが頑張って居るのが唯一の救いかも知れない.



【追記:3/14】...という訳で簡易電源アダプタをちょこちょこと作成してみた


DA-300USB用簡易電源アダプタ
DA-300USB用の簡易電源アダプタを作成してみた

電源部のノイズ波形
DA-300USBを稼働させた状態での電源部のノイズ波形 [ 5mV/div, 5ms/div ]


DA-300USBの内部の作りを確認して、内部の基板の電源供給方法を調べようとしたが、無理にこじ開けようとすると筐体に傷が付きそうなので、今回は内部を開けるのは諦めてとりあえずシリーズ方式かシャント方式の電源を作ることにした.実験用の +/- 15Vを供給可能な電源は何年も前に作成した100mAタイプの小型の物があるが、DA-300USB君は結構な大食漢(460〜500mA)なのでとても間に合わない.


秋葉原に電源用のパーツを買い出しに行く暇が無かったが、ようやく時間が取れたので電源トランスやケース類を買ってきた.本当は電源回路をディスクリート回路で組みたかったが、今回は時間がないのでとてもシンプルなローノイズタイプの電源キットを使った手抜き電源装置で我慢する事にした.電源キットと言っても勿論スイッチングタイプでは無く、テキサスインスツルメンツ社のTPS7A4700という超ローノイズタイプの電源レギュレータICを使った本格的な物だ.


今回のDA-300USB用の電源装置の主役はこのTPS7A4700なのだが、秋月電子で1,200円程で入手可能だ.

・ TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット K-06194
今回使用した主なパーツを挙げておくと、

・電源トランス  管野電気研究所(S.E.L.) SP-162 2次側 AC 16V2A (8V-CT-8V) 2,725円(千石電商)

         DA-300USB用であれば 1A出力のもっと小型のトランスで十分賄える

・アルミケース  IDEAL C0-80D  1,180円 (千石電商)

・オーディオ用電解コンデンサ ニチコン 35V 4700μF X 2 (今回はパラ接続) 容量は適当に調整する 1個200〜300円程度

・整流ダイオード(ブリッジ)、パスコン(0.1μF)

多少電子工作に携わった経験があれば、回路図など書かなくてもぶっつけ作業で作れてしまう程の簡単な物なので回路図などは必要ないだろう.電源キットも端子台2個と小さな電解コンデンサ1個を半田付けするだけのほぼ完成品なので難しい作業は皆無だ.パーツ代も5〜6千円もあれば十分で、製作時間も慣れていれば1〜2時間もあれば作れるだろう.


最初は整流モジュールから直結で、超ローノイズ・プログラマブル可変電源キットに繋いでいたが、入力と出力の電圧差が大きくなり過ぎるので、TPS7A4700チップの発熱を押さえるために、整流回路の出力に、電圧可変タイプの三端子レギュレータLM317Tを入れて、整流部の出力電圧を22Vから16Vまで下げることにした.これにより、ノイズ的には多少不利になるかもしれないが、TPS7A4700チップ自体はより低温で稼働させられるので、サーマルプロテクタによる出力遮断保護等の心配をしなくても済むので、長時間安心して使うことができるだろう.


TPS7A4700チップはノイズ特性には優れているが、回路方式の特性で出力インピーダンスが高めという欠点があるようだ.逆に三端子レギュレータLM317はノイズ特性はイマイチだが、出力インピーダンスが低いという利点がある.ローノイズで出力インピーダンスが低ければ電源としては理想的なのだが...



元ラヂヲ少年のような電子回路の知識は無くても、半完成品の基板モジュールを買ってきて、半田ごてを握りしめながらそれらをつなぎ合わせる程度の簡単な電子工作だけでも、それなりの物が作れるので是非とも挑戦して見てはいかがだろうか.


自作をして見ようと考えて居る電子工作初心者の人達が比較的部品調達し易い(それでも最初は敷居が高いので、誰か経験者と一緒に部品集めを行うのが一番のステップアップ方法だろう.東京近郊に住んでいる人達は秋葉原に買い出しに行くことが容易だが、地方の人は通販を利用すると良いだろう.尤も秋月電子のようなお店は土日は人混みで満足にパーツを探すことも難しいので、購入するパーツが予め決まっている場合は、通販で揃えた方が苦労をしなくても済むだろう.


初心者が電子パーツを揃えるのに割と都合の良いお店を幾つか紹介しておくので参考にして欲しい.



 ・秋月電子通商

電子工作を行っている人達にとっては、このお店を知らない人は居ないという程の老舗の超有名店.初心者からベテランまで網羅する品揃え(かなりマニアックな商品も多い)とこのお店独自のキット商品が特徴のお店.残念なのはお店が小さ過ぎて、土日は混雑でとてもパーツ探しを行えるような状態では無くなるので、お店に行くなら平日の火・水・金がお薦め.



 ・千石電商


こちらも秋月電子と並ぶ秋葉原の老舗パーツショップ.面白い事に両店舗とも同じ通りに並んでいるので、ベテランの人達は両方のお店に顔を出して、パーツを買い分けている.秋月電子よりもお店のフロア面積が広い分、品揃えは千石電商の方が豊富で、抵抗やコンデンサ、配線材やケースなど様々なパーツを購入することができる.



 ・マルツエレック株式会社(マルツオンライン)


秋月電子や千石電商ほど有名ではないが、こちらも同じように大部分の電子パーツをお店で購入することができる.土日でも極端な混雑はないので、パーツをゆっくり探したい婆合はこちらの方が便利かも.



かつてのようなパーツ黄金時代の秋葉原を知っている人達にとっては、現在の秋葉原は廃墟同然だろう.所々にまだ昔のスタイルのまま営業を続けているお店があるのが、せめてもの救いかもしれない.


大坂近辺では、共立電子産業株式会社が運営している、共立シリコンハウス(実店舗)共立エレショップ(通販)が便利だろう.こちらも独自のキットを展開しており、ディジタルオーディオ系の基板製品も扱っている.


パーツショップではないが、株式会社ストロベリー・リナックスという会社が扱っているモジュール基板も面白い.こちらはどちらかというとプロ(専門家)向けの特殊な製品が多いが、電源関係のモジュールも結構充実しているようだ.


面白そうな物を幾つかピックアップしてみると、

 ・TPS7A4700 超ローノイズ・レギュレータモジュール(正出力) メーカー品番:TPS7A4700


秋月電子で売っている超ローノイズ・レギュレータモジュールとほぼ同じ機能の製品



 ・TPS7A3301 超ローノイズ・レギュレータモジュール(負出力) メーカー品番:TPS7A3301


こちらは、負電源用の超ローノイズ・レギュレータモジュール.OPアンプなどの正負両電源を必要とする電源の製作に都合が良い.


LT3439 超ローノイズDC-DCコンバータモジュール(+12V/-12V) メーカー品番:LT3439


こちらはUSB-DACなど+5Vの単一電源から、+/- 12Vの電源を取り出すことができるので、ポータブル機器などのでDACやOPアンプなどを単一電源環境で利用しなくてはならない場合の電源モジュールとして便利だ.勿論、DC/DCコンバータその物がスイッチング電源なので、極力オーディオ回路では使用したくはないが、ポータブル機器やUSBからの給電しかできない場合は使わざる負えないだろう.


当然ながら、DA-300USBも外部からのACアダプタによる+15Vの単電源なので、内部で+/-電源をスイッチング方式で作り出している事だろう.機会があればDA-300USBをバラして、外部からの+/-専用電源による改造を行ってみようと思う.


今回の制作費5千円程度の自作電源装置のノイズ特性をある程度客観的に示すことはできても、それによる音質への向上の度合いを客観的に判断できるような高尚な耳も文章表現力も持ち合わせていないが、あまりお金を掛けずに音質アップを謀るというオディオマニア的な楽しみは堪能できるだろう.少なくてもケーブル一本に何十万円も掛けるよりかは遥かに効果的だろう.


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