北岳より甲斐駒ヶ岳と八ヶ岳を望む


Date/Time: 2014:09:15 08:36:09
Camera: PENTAX
Model: PENTAX K-5 II s
Exporsure Time: 1/1250
FNumber: 5.6
Aperture Value: 5.0
Focal Length: 21.0

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y2blog » テクトロニクス製のオシロ(ジャンク品)で遊んでみた

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02

2017

テクトロニクス製のオシロ(ジャンク品)で遊んでみた

憧れのテクトロニクス製オシロスコープを入手


Tektronix TDS 714L
今回は『計測器市場 ジャンクブリッジ』のヤフオクストアで Tektronix TDS714Lを入手


電子回路技術者や多少なりとも電子工作を趣味としている人で在れば、オシロスコープを始めとする各種テクトロニクス製品について知らない人は居ないというくらいメジャーで高性能だが、如何せんお値段が半端なく個人レベルでは手出しのできない高値の花だった筈だ.


私も電子工作を趣味としている関係で、国産の安いアナログオシロスコープは待っているが、テクトロニクス製品はちょっと前の中古品でもそう簡単には手が出せないでいた.大部昔の車のCMのキャッチコピーで『いつかはクラ○○』というのがあったが、『いつかはテクトロ』とでも言いたくなるくらい憧れの測定器メーカーだった.


今回ヤフオクで中古のオシロスコープを漁っていたら、ジャンク品扱いで電源の入らない壊れたテクトロニクスのデジタルオシロスコープ TDS700シリーズが出品されていたので、ダメもとで入手してみた.当時の正確な値段は判らないが、とても個人で買えるような金額では無かった筈だ.デジタルオシロスコープとしてはまだ初期の頃の製品で、現在のオシロスコープと較べる事は憚られるが、当時(1990年代)としては最先端の技術を投入した製品だったようだ.


ヤフオクの商品説明では電源SWを入れてもウンともスンとも言わないというので、完全な部品取りを前提としたジャンク品扱いなので格安で入手できた.故障の程度を判定する術が無いので、このような物に手を出すのは殆ど勝ち目の無い博打のような物だが、そこは技術者の端くれなので中を開けて憧れのテクトロニクス製品の作りを見て勉強できれば十分だ.




電源SWを入れても全く無反応なので、先ずはコンセントの廻りにあるFuseから確認を始めるが、Fuseは切れていないようだ.中を開けることにするが開け方がネジ関係は全てトルクスT15,T20で固められていたので、まずはT15,T20のドライバーを探すことから始めなければならなかった.幸い手元にiFixitのドライバービットセット(Apple関係の製品を弄るためのは無くてはならない一品)があったので、T15,T20ネジをこれで外すことができた.


メイン基板
デジタル側メイン基板を外し電源部のアルミカバーを外す

電源部とブラウン管を用いたディスプレイモジュール
ブラウン管方式のディスプレイモジュールと電源部のメインボード(右側)

現在のデジタルオシロであればメイン基板はカスタムLSIチップ数個で固めて最小部品構成で作られているところだが、90年台の製品なので部品てんこ盛りだ.昔なら壊れたチップを交換すれば直るだろうが、今となっては代わりの部品を入手することは難しそうだ.別なジャンク品から使えそうなパーツを漁って交換するしか術はないだろう.


中を見ると流石に時代の流れを感じるが、流石はテクトロニクス、全ての作りがしっかりとしていて整然とまとまっておりとても美しい.この製品がユニークなのはカラーディスプレイ表示の方法で、昔ながらの輝点方式のモノクロブラウン管に無理矢理カラー表示させるための仕組みを組み込んで有る.普通のブラウン管カラーTVのようなRGBの3つの電子銃の組みあわせによるカラー方式では無く、ブラウン管の表示面に7色?表示可能な透過液晶パネルを付加して、輝点の動きとカラー液晶パネルを同期させてカラー表示しているようだ.(昔のゲーセンや喫茶店に置かれていたインベーダゲームのカラーセロハン表示と同じようなものを想像して貰うとイメージが付きやすいかな? こんな事書くと年がばれてしまうかな)


メイン基板や電源部、アナログ基板などつぶさに表裏を観察し、異常がないかどうか目視確認を行ったが、明らかに壊れていると判るような部分はなく、想像していたよりも遥かに基板の状態は良い.無水アルコールで基板や部品を丁寧の掃除してあげると、20年も前の製品とは思えないほど綺麗だ.この辺は流石にテクトロニクス製品だと感心させられる.


テクトロニクス製品で感心させられるのは、こんな昔の製品でも(昔の製品だからと言った方が正解かな)きちんとサービスマニュアルが残っていて、メンテナンスや製品保守に対する基本ポリシーがきちんと確立されていたことだ.この辺は日本のメーカーもきちんと見習って欲しいところだ.かつて技術大国・物作り大国を目指すなどと何処かの国の政治屋さんたちが嘯いていたが、きちんとしたドキュメントの制作や継承ができないようでは、いつまで経っても絵空事でしかないだろう.


とりあえず Tektronix TDS714L のサービスマニュアル 『TDS500D, TDS600C, TDS700D & TDS714L Service Manual マニュアル』 をダウンロードして中身を確認してみた.全部で330ページもある英語のドキュメントだが、分解の仕方や症状別にどこから手を付ければ良いかなどの情報が記述されている.

Trable-shooting Procedures
Service Manualのトラブルシューティングのフローチャートより一部抜粋

このフローチャートの手順に従って、障害の切り分けを行ってみることにする.症状からデジタル系のメイン電源 +5.1V は問題無く供給されているようなので次の項目に進むが... 次の項目の内容は “Replace the A11 DRAM Processor/Display module.” となっていて、ここから先は身も蓋もない指示内容だった.メインボード毎交換だそうな... 


今となっては20年以上前の製品のメインボードを交換する術も無く、仮にメーカーの修理が受けられたとしてもウン十万も掛かる事は必死だ.デジタルメインボードをつぶさに調べている時間も回路図もないので、先ずはこの頃の故障の一番の要因らしいタンタルコンデンサ廻りからチェックしてみることにした.


どうも 16V33uF のチップタンタルコンデンサ2個の挙動がおかしい.取り外して確認してみると抵抗値は無限大となっており、どうやらFuse機能付きのタンタルコンデンサがショートモードで故障してFuse機能が働いたようだ.ショートの場合は周辺部品も巻き添えにする可能性があるが、Fuse機能のおかげで他の部品に影響が出ていないことを祈る.とりあえず手元のリード線タイプのタンタルコンデンサと置き換えた.


タンタルコンデンサを交換
デジタルメインボードのタンタルコンデンサの一部をとりあえず交換

フロントパネルの電源スイッチ(正確にはStandbyスイッチかな)を押すと、今までの 7セグLED表示器の”.8″ 表示が消え、上下の水平セグメント2本が1秒間隔ぐらいで点滅に変わった.ディスプレイも今までは真っ黒で何も表示されなかったが、少し歪曲した水平線のような物が色形を変えながら怪しく光っている.今まではディスプレイには何も表示されずウンともスンとも言わない状態から、リレーのような物音がして時間と共に症状が変わるようになった.大部前進だ.


ディスプレイには怪しい水辺線しか表示されていないが、デジタルメイン基板のLEDにはエラーコードは表示されていないようなので、もしかしたら裏面パネルのアナログRGB(VGA)コネクタに何か表示されているかもしれないので、PCモニタのVGAコネクタと繋いでみたら、何とオシロスコープ画面が表示されていた.ということはデジタルメインボードは正常に機能しているということなので、後は単にブラウン管ディスプレイ系の垂直偏向系が何らかの障害で作動していないということのようだ.



何やらディスプレイに怪しい水平線が
何やらディスプレイに怪しい水平線が

VGA端子から画面出力されている!!!
VGA端子から画面出力されている!!!

ノイズが気になるけど...
ノイズが気になるけど...

Copyrightの年代が...
Copyrightの年代が...

とりあえずブラウン管ディスプレイ系の垂直偏向系については、今度時間があるときにトラブルシュートすることにしようと思う.VGAディスプレイに表示された波形のノイズ成分が気になるが、とりあえずこのTDS714Lについてはお遊び程度には使えそうだ.初めてのデジタルオシロなので使い方をマスターしないとね...


Tektronix TDS714Lで遊んでいたら、やっぱり昔の憧れの的だったTektronixの高性能アナログオシロスコープが欲しくなり、別なヤフオクのお店からTektonix 2455B(250Mhz, 4ch)手に入れてしまった.こちらは少しディスプレイ表示系の調整が必要な感じだが、『腐ってもテクトロニクス』ということで...(^_^)/


Tektronix 24555B
こちらはアナログオシロの Tektronix 2455B [ 4ch: 250MHz ]

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