夕日に沈む礼文島


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07

2007

5/7 宇和から別格7番出石寺へ

5/7 宇和から別格7番出石寺へ


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出石寺へ


昨日の雨もすっかり上がり今日は朝から日射しが戻っていた.国道56号線沿いの道を歩いていると埼玉のOさん達と一緒になった.ここまで何度も一緒になるともう笑っちゃうしかない.Oさんと一緒に歩いていた連れの方は確かYさんという方で、国民宿舎土佐、足摺岬への道でも一緒だった.OさんとYさんはこのまま大洲方面へ向かうということのなので、私は一足先に鳥坂峠へ向かうことにした.


鳥坂峠の山道はそれほどきつくもなく、とても気持ちの良い山道だった.峠を越えると緩やかな下りの舗装路が続いた.道の端には1m位の長さに切りそろえられた雑木がびっしり積まれていた.椎茸の榾木にでもするのだろうか.国道56号線を左下に見ながら山の中の道を下っていった.


途中に札掛大師堂という場外霊場があったので立ち寄ってみた.境内は一面に雑草が生い茂っていてまるで廃寺のようだった.お参りする気にもなれずそのままお寺を後にした.ここで大洲へ向かう遍路道を逸れ、松山自動車道に沿って大洲西トンネルへ向かう遍路道に入った.遍路道の標識を探すが全くと言うほど見あたらない.仕方がないので松山自動車道に沿って田圃の中の適当な道を歩いて行った.


途中何度か道に迷ったが何とか大洲西トンネルの入り口まで辿り着くことができた.トンネルを抜けた所で川に沿って伊予平野駅を目指した.伊予平野駅のベンチで一休みした後、近くのお店で食料と水を調達しておいた.ここで調達しておかないとこの先お店は一切無さそうだった.


JR予讃線の線路を越えて暫くは周りに民家があったが、先に進むに従って民家はどんどん少なくなって行った.暫く緩やかな上りの道が続いた.舗装された綺麗な道だったが滅多に車は通らない.日射しが強くとても暑い.既に汗びっしょりだが、この先長い山道が続くのでなるべく水を浪費しないように努めた.


ここまで遍路道保存協会の赤い標識は全くと言って良いほど見かけなかったが、山道の遍路道に入っていく道の遍路標識を見つけた.地図を見る限り、山道の遍路道の方がかなり近道なようだが、完全な山道のようだ.果たして山の中を行く遍路道はちゃんと通れるのだろうか.こんな山の中にまともな遍路道が通っているとは信じ難かった.出石寺へ歩いて行く遍路など殆ど居ないので、遍路道など整備されている筈もなく、こんな山の中で道に迷えば間違いなく遭難だ.私が入山した事など誰も知る術がないし、誰も助けにも来てくれないだろう.携帯の電波も届かないだろうから、余程の覚悟と準備を整えて行かなければ危険だ.


暫く迷った末、山道の遍路コースを諦めて道路沿いの遍路道を行くことにした.平野町平地というところからヘアピンカーブが延々と続く険しい山間の道になった.わずか20〜30m上へ上がるのに、何百mも延々と迂回して行かなければならない.じれったい.山の斜面をよじ登って行きたい衝動に駆られる.遍路地図のコースのカーブは省略して書かれているので地図を見ている限りではそれほど曲がりくねった道であるという感じはしないが、実際の道はその何倍もヘアピンカーブが続く過酷な道だった.車で行くのも嫌になるような道だと思う.


遍路地図では車道をショートカットする遍路道が有る筈なのだが、その入り口が見つからない.標識が全くないので諦めて車道を行くことにした.何度もヘアピンカーブを歩いているうちに、自分が今どの辺りを歩いているのか全く分からなくなってしまった.遍路道を歩けば1kmくらいで済むところが、車道を歩くとその何倍も余計に歩かなければならない.暑さと疲労でとても苛ついていた.


伊予平野を出てから何時間ぐらい経過しただろうか、ようやく小さな集落を見つけた.集落と言っても2〜3軒ぐらいしかない見あたらないが、蜜柑畑で農作業をしているおじさんがいたので、出石寺への遍路道を尋ねてみた.遍路道は分からないけど出石寺はこのままこの道を進んでいけば良いと言っていた.おじさんに遍路地図を見せてここがどの辺りか聞いてみたが、おじさんも地図を見ながら首を傾げていた.多分この辺だよとしか指さしてくれなかった.


おじさんにお礼を言って出石寺に向かって歩いていたら、別な農家の玄関先にお婆さんがいたので、このお婆さんにも遍路道の事を聞いてみた.お婆さんの話では確かに昔この先に遍路道があったが、今は誰も通る人が居なくなり遍路道なんか無くなっている筈だという.仕方がないので自分で遍路道の入り口を探してみたがやはり見つからなかった.下手に山道に入ってしまったら本当に遭難しかねない険しい山の中だった.


携帯の電波が辛うじて届いていたので、思い切って出石寺に遍路道の事を尋ねてみたが、遍路道の事は全く分からないので、兎に角車道を歩きなさいと言われた.この分だと大分遅くなりそうだということをお寺の方に伝えておいた.


誰も通らない山奥の道を一人で歩いていたら、100m位先の斜面から数匹の犬の鳴き声が聞こえてきた.鳴き声はだんだんこちらに近づいてくる.猟犬だろうか.やがて50m位前方の道路に犬たちは降りてきた.野犬の群れだった.10数頭はいたであろうか.ボスらしき犬が私の方を睨み付けながら様子を伺っている.1頭だけなら金剛杖を振り回せば何とかなりそうだが、この数では到底太刀打ちできない.暫く犬たちとの睨み合いが続いた.どの位時間が経ったのか分からなかったがボス犬が遠吠えのような声を上げると、群れを率いて斜面を降りて行った.犬たちが居なくなっても暫くその場を動くことができなかった.


気を取り直して車道を歩いて行くとT字路に出た.道路標識では出石寺は左へ行けば良いようだ.右へ行くと大洲方面へ行けるようだった.ようやく自分の現在地を地図の上で把握できた.この道を右へ行けば尾根沿いの遍路道に出られる筈だ.尾根の手前に遍路道の入り口が見つかった.良かった今度はきちんとした遍路道のようだ.尾根沿いの遍路道はとても歩き易く、しっかりした道だった.お寺が近づくと険しい急な上りになった.丁石代わりにお地蔵さんが置かれている.お地蔵さんに御挨拶しながら急な斜面を登り切ると、ようやく出石寺の境内へ通じる参道に出た.午後5時ようやく出石寺に辿り着いた.伊予平野を出たのが1時ぐらいだったから、ここまで4時間も掛かってしまったことになる.とんだ誤算だった.


境内には巨大な大師像が何故かお寺の方を向いて建てられていた.よくもこんな山の上に大きなお寺を建てたものだと感心してしまう.夕日が差し込む誰も居ない境内でお参りを済ませ、納経所に向かった.納経所で名前を告げると直ぐに部屋に案内してくれた.お寺の中はとても歴史を感じさせる古い建物だった.本坊と宿坊が一緒になっており柱や床が太く黒光りしていた.歩く度に床が軋んでまるで江戸時代にでもタイムスリップしたようだった.お寺の方に話を聞くと300人ぐらいは泊まれるそうだ.お遍路にはあまり知られていないが地元では大変由緒あるお寺なのだろう.このお寺からの眺めは格別で、地元の人達が良く車で訪れるようだ.


部屋に案内されると、12畳くらいの広い部屋だった.電気ストーブが置かれている以外何もない.隣の部屋とは襖1枚で仕切られているだけだった.部屋はどことなく薄暗く肌寒かった.お寺の方に他にお遍路さんが泊まっているのかと聞くと、今日の宿泊客は私一人だという.えっ! こんな大きな宿坊にたった私一人ですか...何だか急に不安になった.


先にお風呂をいただき、部屋に戻ると直ぐに夕食を出していただいた.お寺の方が部屋までお膳で運んでくれた.これまでの宿坊の料理とは違い、まさしく本格的な精進料理だった.高級料亭で出されるような派手な演出はないが、しっかりと味が滲みた何とも言えない味だった.このような食事をしていると決してメタボリックな体にはならないだろう.本格的な精進料理を食べることが出来たのは良かったが、歩き遍路にとっては何とも切ない食事だった.このような食事が何日も続いたら歩き遍路は間違いなく途中で行き倒れになってしまいそうだ.


食事が終わっても何もすることがない.5月とはいえ、夜になると標高812mの山の上はとても寒かった.電気ストーブをつけるがそれでも寒い.寝るには早かったが寒さを凌ぐため布団に潜った.廊下のガラス戸が風でばたばた音を立てている.今夜このお寺に泊まっているのは2〜3人ぐらいだろうか.せめて隣の部屋にでも他の宿泊客が居れば良いのだが...


誰も居ない山奥のお寺で独り寒さと恐怖に震えながら早めに眠りに就いた.無駄な電気を使って申し訳なかったが、一晩中部屋の明かりを点けたまま眠ってしまった.



起点
 
経由地
 
終点
区間距離
累積距離
備考
宇和パークホテル
鳥坂峠
場外霊場 札掛大師堂
11.4 km
11.4 km
遍路道
場外霊場 札掛大師堂
大洲西トンネル
JR伊予平野駅
6.0 km
17.4 km
JR伊予平野駅
県道234
別格7番 出石寺
13.6 km
31.0 km
遍路道は殆ど当てにできない


この日の歩数:52,186 歩 【累積歩数:1,259,593 歩 】 歩行距離:31.0 km【累積歩行距離:760.8 km 】

宿泊先: 出石寺 宿坊 【 TEL 0893-57-0011 FAX 0895-23-6666 】
      〒799-3462 愛媛県大洲市豊茂乙1

      宿坊の正確な料金は忘れてしまいましたが、5,000円台でした.食事は精進料理です.
      洗濯機 乾燥機: なし

      境内に清涼飲料水の自販機が設置されていた.



【出石寺へ歩いてお参りする方へ】

出石寺は標高812mの山の頂上にあるお寺です.出石寺の境内には食堂があるが、閉店している事も多いようなので、山に入る前に食料や飲料など十分な準備をしておいたほうが良いだろう.私が行ったときは、遍路道を道を見つけることができずに、延々とヘアピンカーブが続く車道を歩くはめになってしまった.車道を歩くと、遍路道の倍近くの距離を歩かなければならないので、遍路地図の距離は当てにできない.


廻りに殆ど家が無く車も滅多に通らない車道が延々と続き途中で野犬の群れに遭遇した.携帯電話も大部分が圏外だった.瀬田ルートを車道伝いに歩くことはお薦めしない.普通の遍路道に有るような遍路標識もほとんど無いので、遍路道を探すことは困難だった.

    
  【追記: 2008/11/26】

2008年11月下旬に伊予平野から地蔵ルートを通って出石寺へ向かう遍路道を歩いてきた.地蔵ルートはとても快適な地道の遍路道だった.山登りの経験がある場合は迷わず地蔵ルートを選択することを薦める.


私が2007年5月に歩いた時は、遍路標識が見つからず苦労したが、その後遍路道や標識の整備が進み、瀬田ルート、地蔵ルート共安心して歩く事ができるようになった模様.


2008年に地蔵ルートを通って出石寺を訪れた時の記事はこちら.

  『別格7番 金山出石寺へ(その1)』

出石寺の遍路道については、『別格7番 金山出石寺への遍路道』にまとめておいたので、出石寺を歩いて参詣する予定の方は参考にして欲しい.



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【2023年4月の出石寺の遍路道状況】


 『出石寺への遍路道(2023年4月)

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