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04
2017
大台ヶ原散策(大杉谷登山口→堂倉避難小屋→日ノ出ヶ岳→西大台調整地区→小処温泉)
大杉谷峡谷から大台ヶ原へ
【1日目:4/30(日)】大杉谷峡谷登山口 → 堂倉避難小屋
二週間前のプチ北大峯奥駈けに引き続き近畿圏の山々のお散歩してきた.今回は大台ヶ原を三重県側の大杉谷側から峡谷を遡り、日ノ出ヶ岳を経由して大台ヶ原の西大台利用調整区内を通って小処温泉へ下りる事にした.
朝6時過ぎの新幹線で名古屋へ向かい、そこから南紀1号に乗り紀勢本線の三瀬谷で下車した.今回の登山口となる大杉谷峡谷登山口へ行くには、地元の三重県にあるエスパール交通が主催するツアー型の登山バスを利用するしか方法が無い.地元の大台町が運営する町営バスを利用すれば、大杉谷登山センターのある大杉地区までは大台町営バスを利用することができるようだが、登山口までダム湖沿いの舗装道路を一時間半以上歩く事になる.今回は町営バスの利用を諦めて、ツアーバスを利用することにした.
三瀬谷駅で特急列車を降りると、思いの外大勢の登山客が下りて来たのにはちょっとビックリした.皆大杉谷登山口へ向かう人達のようだ.ツアーバスは駅の裏側にある道の駅『奥伊勢おおだい』から出発するので、踏切を渡って道の駅へ向かった.道の駅に併設される形で大きなスーパーマーケット(MaxValu)があったので、今日の行動食用におにぎりなどを買い込んでおいた.
この日は臨時便も出ていたので総勢50名程の登山客が2台のマイクロバスに乗り込んで登山口へ向かった.バスは補助席まで使う程の満員状態で、狭い車内で皆それなりに大きなザックを抱えているので身動きが取れずに大変だった.一時間ほどで大杉谷登山センターへ到着し、ここでトイレ休憩と登山届けを提出するために10分程休憩が設けられていた.登山口までの道路はとても細く、登山口から下りて来た自家用車とのすれ違いのためにバスの到着が遅れてしまった.少なくともシーズン中の土日・祝祭日は一般車は通行禁止にすべきだろう.
大杉谷ルートに関する情報は、大杉谷登山センターや大台町観光協会 – 登山のページを参考にすると良いだろう.
実際に大杉谷ルートを歩いて見ると、想像していたよりも登山道は整備されており、身の危険を感じるような箇所は殆ど無かった.初心者にはお薦めできないが、これでもかというぐらい頑丈な鎖の補助ロープが要所要所に設置されているので、雨などで岩場が濡れていない限りそれ程難しいコースではない.
ルートの途中に見所が何箇所か有り、できれば見所でのんびり休憩しながら歩きたいところだが、今回は日没前までに堂倉避難小屋に着かなければならないので、ゆっくりと楽しむ事ができなかったのが残念だった.キャンプ禁止区域でなければ光滝の下の河原でテントを張りたかったが、我慢して避難小屋まで行くことにした.小屋到着が予定よりも30分程遅れてしまったが、まだ明るい内に到着できたのでホッとした.
この日の避難小屋利用者は、徳島から車で来たという同年代くらいの男性が一人と小屋の両横でテントを張っていた2組だけの静かな夜を過ごす事ができた.時間があれば小屋の近くでテントを張りたかったが、小屋が空いていたので、小屋の中で贅沢に場所を占有させて貰うことにした.小屋の中で一緒になった徳島からきた男性は、朝一で大杉谷登山口から登ってきて、日ノ出ヶ岳まで登って下りてきたと言っていた.朝一で登ることができれば、大台ヶ原までは日帰りもできそうだ.
【2日目:5/1(月)】堂倉避難小屋 → 日ノ出ヶ岳 → 大台ヶ原(西大台利用調整区域)→ 小処温泉
堂倉避難小屋はコンクリート製の立派な避難小屋で、2段ベッドのような作りになっており、10人ぐらいは余裕で収容できそうだ.朝野鳥のさえずりで目が覚めた.小屋の周りでコマドリらしきさえずりが聞こえる.さえずりが聞こえてくる辺りの藪を目を凝らして探すが、見つけるのはかなり難しい.一瞬藪から飛び出した姿を見かけたが、きちんと種類を確認することはできなかった.日ノ出ヶ岳へ向かう登山道でも盛んに野鳥がさえずっていたが、こちらはコルリのようなさえずり方だ.コマドリもコルリも同じような藪の中に居てさえずり方も似ている.コルリはさえずりの前にヒッヒッヒッと小さな前奏音が入るので、間近で聞けば両者の区別が付くだろう.
日ノ出ヶ岳へ向かう登山道の廻りはシャクナゲの群生地になっている.この辺りはシャクナゲ坂と名付けられているのも頷ける.まだ蕾すら見られないが、多分花が咲くと素晴らしい光景が繰り広げられることだろう.今年は例年に無い雪の影響で花が咲く時期が遅いのかもしれない.
日ノ出ヶ岳の頂上はまだ閑散としているが、そのうち大勢の観光客で賑やかになるだろう.大峯の山々は霞んではいるが、何とか普賢岳や行者還り岳、弥山、八経ヶ岳などを確認することができる.今日は尾鷲湾や熊野灘の海も何とか見えている.
日ノ出ヶ岳を後に、西大台ヶ原利用調整地区に入るためのレクチャーを受けに大台ヶ原ビジターセンターへ向かう.大台ヶ原から小処温泉へ下りるには、西大台ヶ原利用調整地区内を通らなければならないので、事前に立ち入り申請を行い、手数料の払い込みやレクチャーの受講など所定の手続きを経なければならない.
今回私が申請書を提出したのは立ち入り日の一週間前だったため、許可証を通常の郵送で送っていたのでは間に合わないので、申請窓口である地元の上北山村商工会の方々が融通を利かせてくれて、許可証を大台ヶ原ビジターセンターで直接受け取れるように便宜を図っていただいた.大台ヶ原ビジターセンターの方々にもとても親切な対応をしていただいた.
西大台利用調整区域内は巡視員が入口や分岐ポイントなどに待機していて、常に利用者名簿と照らし合わせてチェックをするなど厳格に管理されていた.入口の監視員の方はこの辺りの野鳥に詳しいようで、コマドリやアカショウビンなどの生息状況などについて暫く話し込んでしまった.途開拓村跡分岐で待機していた若い巡視員のお兄さんからも色々と情報をいただいた.
西大台利用調整区域の立ち入りについてはとても面倒な手続きが必要で、安易に人を入れないという点では良い方法だと思うが、今後手続きの簡素化や運用の工夫が必要だろう.現状の人出と手間暇・時間を掛けた管理方法から、申請や許可証の発行の電子化やレクチャーなどをe-learningシステムなどでも事前に受講可能にするなどの方策が採れるのではないだろうか.
大台ヶ原ドライブウェイを一般車立ち入り禁止にしてしまうのが、大台ヶ原全体の保全には最良の方法だと思うが、如何なものだろう?
この日は小処温泉への下山道整備のためにビジターセンターの関係者の方々が登山道の補修を行ってくれていたようで、谷筋などの斜面の崩落箇所を補修して歩き易いように整備されていた.どうやら今年度このコースを歩くのは私が最初のようで、それに合わせて急遽整備してくれたのかもしれない.
小処温泉までは迷うところも少なく歩き易い道だったが、最後の林道ショートカットコースを見逃してしまい、林道を延々と遠回りしてしまった.小処温泉はこぢんまりとした小さな温泉施設だが、建物も綺麗でとても良い温泉だった.小処温泉は上北山村村営の施設ということだったが、温泉の経営は地元にお住まいのご夫婦が行っており、とても居心地の良い場所だった.
今回は小処温泉のご夫婦やその息子さん、駐在さんや漁協の方、上北山村商工会の皆さんや大台ヶ原ビジターセンターの方々などのお世話になった.また、最終日には地元の釣り師?のYさんに車で近鉄の六田駅まで送っていただくなど、とても思い出深い山旅になった.小処温泉周辺や小橡川周辺は楓の木が多いので秋の紅葉シーズンはとても美しいという事なので、10月中旬頃にまた訪れて見ようと思う.その前に5月中旬にでもコマドリ目当ての撮影で堂倉避難小屋や和佐又山周辺を再訪することにしよう.
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