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05

2018

UPnP/OpenHome Music Server の自作(その2)

オーディオ専用のネットワークを作成してみる


Testing The Network Audio Router
オーディオ専用ネットワークの実装実験中の様子

何故オーディオ専用ネットワークが必要なのか


ネットワークオーディオに填まって高音質化の道を突き詰めて行くと、一般的な家庭のネットワーク環境では高音質化に限界があることに気付くだろう.その原因としては様々な要因が挙げられるだろうが、簡単に言ってしまえば家庭内ネットワーク(LAN)のノイズによるものだろう.実は家庭内のLANはノイズまみれなのである.ここで言うノイズは電磁気学的な物理ノイズという意味合いも含まれてはいるが、それよりもネットワークの論理的なノイズである不要パケットの存在によって、オーディオデータの伝送が不安定になると説明した方が分かり易いだろう.


不要パケットと言う表現は語弊があるかもしれないが、ネットワークオーディオ機器から見れば自分とは全く関係の無いパケットなので、自分の仕事の邪魔をする悪いパケットなのだ.ネットワークオーディオに限らずデジタルオーディオデータをUSBケーブルや光(同軸)などで伝送する際には、常に一定のスピードかつ正確なタイミングで時間的にぶれる(このぶれ幅をジッターと呼ぶ)ことなく、最終的なアナログ変換素子であるDACチップまで届けることが求められる.


世の中のお金持ちさんの中には、ケーブルやネットワークスイッチにお金を掛けて物理ノイズを減らす事に血眼になっている人達も居るようだが、私にはそんな重箱の隅を突くようなアプローチの仕方はお金の無駄使いでしかないと思っている.確かに、デジタルとは言いつつも結局はアナログの世界の呪縛からは逃れられないので、行き着くところはアナログの世界なのだろう.


話が横道に逸れてしまったが、今回は何万円もするネットワークケーブルや何十〜何百万円もする高信頼度が要求されるような特殊用途のネットワークスイッチなどを使わなくても、簡単(ネットワークエンジニアであればの話ですが...)にネットワークオーディオの音質アップを謀ってみようというお話だ.


家庭内のネットワーク環境下でどうやってオーディオ用のネットワークを作れば良いのだろうか


A simple Home Network Configuration
今回想定する一般的な家庭内ネットワークの論理構成

先ずは家庭内の一般的なネットワーク環境を考えてみる.普通はNTT東西のフレッツサービスやAU光、Nuro光などの通信キャリア系のアクセス回線サービス(足回り)とSo-netやNifty、Biglobeなどのインターネットプロバイダ(I.S.P)の組みあわせか、Wi-Maxなどのモバイル系のインターネット接続サービスを使っていることだろう.


何れの場合でも、インターネットプロバイダと家庭内のネットワークとの間には必ずと言って良いほどブロードバンドルータ装置が設置されているはずだ.勿論ブロードバンドルータ装置を介さずに、直接クライアント装置で有るPCを繋ぐことも可能ではあるが、セキュリティー的な事を考えればこのような接続形態は完全な自殺行為であり、外部から一瞬でPCを乗っ取られて悪用されてしまうだろう.勿論、乗っ取られてしまった方は被害者などではなく他の攻撃の踏み台に悪用される環境を提供してしまった加害者(犯罪者)側だという事を肝に銘じておくべきだ.


インターネットプロバイダから提供されるインターネット接続用のIPアドレスは、従来は接続する度に変化するグローバルIPアドレスが1個割り当てられる場合が殆どであったが、IPv4アドレスの枯渇やセキュリティー対策などから、インターネットプロバイダ側で用意したプライベートIPアドレスを末端のユーザに払い出す方式が多いようだ.勿論プロバイダ側から払い出されるIPアドレスがプライベートIPアドレスだからと言って、セキュリティー対策が必要ないかと言えば決してそうではなく、エンドユーザ側でグローバルIPアドレスの場合と同じようなセキュリティー対策が必要だ.プロバイダのプライベートIPアドレスは、エンドユーザからは外の世界そのものであることに変わりはない.マンションの入口にオートロックが有るからと言って、自分の部屋のドアの鍵を掛けない馬鹿は居ないだろう.


今回はネットワークのセキュリティーの話ではないので、本題で有る家庭内ネットワークのノイズ問題に話を戻すことにする.Windows系のコンピューで使われているファイル共有やプリンタ共有のための仕組みや、ゼロコンフフィグレーションネットワーキング技術(Zeroconf)の一つで有る、マルチキャストDNS(mDNS)などが一般的に使われている.また、サービス・ロケーション・プロトコル (Service Location Protocol) という、ネットワークサービスを見つけ出すためのプロトコルも使われており、これらのプロトコルやmDNSはネットワークプロトコルの標準化団体であるIETFからRFCとして公開されている.因みにこの技術を実装した物がAppleの”Bonjour”で、Linux/BSD系向けの実装が”Avahi”である.

 

ネットワーク上のデバイスの名前解決や構成情報を簡単に設定できるようにする仕組みが有るおかげで、一般のユーザはネットワークの専門知識を持たなくても簡単に使えるという便利な側面があるのだが、ネットワークオーディオ的にはこれらの機能が仇となって、高音質化を妨げているのである.利便性を取るかそれとも高音質化のためにこれらの機能を捨てるかなのだが、余程のコンピュータやネットワークスキルが無ければこれらの厄介者を止めることはできないだろう.


これらの厄介者を止めることができないのであれば、ネットワークオーディオ機器がつながっているネットワークとこれらの厄介者が跋扈しているネットワークとの間に関所を設けて、本当に必要なパケットデータのみを通すようにすれば良いのである.


今回はネットワークエンジニアではないごく普通?のオーディオマニア向けに書いているので、非常に廻りくどい表現になってしまっているが、要はネットワークオーディオ専用のネットワークを作り、ルーター機能を使って不要なパケットを遮断するようにすれば良いのだ.もう少し専門的に言うと、IP(L3)レベルのルーティング化なのだが、ネットワークの専門家でもない限りこの辺の仕組みを理解するのは難しいだろう.


とは言え、家庭内にオーディオ専用のネットワーク環境を構築し、家庭内のネットワークと上手く繋げるには、IPルーティングなどの仕組みをきちんと理解できている必要がある.ネットワークの基本を知る良い機会なので、頑張って挑戦してみて欲しい.


今回は、家庭用のブロードバンドルータ1台とネットワークスイッチ(L2)だけで構成された最もシンプルな家庭内ネットワーク環境の場合を例に、オーディオ専用ネットワークの構成方法について説明することにする.家庭用のブロードバンドルータにはLAN側に4ポートぐらいのネットワークスイッチ機能が付いているので、普通の家庭には別なネットワークスイッチそのものが無いかもしれない.


シンプルな家庭内ネットワーク環境とは言っても、インターネット接続に使用しているブロードバンドルータはそれなりの高機能(マニュアルでルータの環境設定が可能な物で、静的ルーティング機能を持ち合わせている機種)な物を用意する必要がある.今回は手元に使っていない古い Wi-Fiブロードバンドルータ(NEC Aterm WR9500N)が有ったので、実際のAterm WR9500Nの環境設定画面の実例を参考にしながら設定の勘所を説明して行くことにする.


今回は、APU2C4をUPnP/OpenHome Music Server兼オーディオネットワークルータとして構成してみることにする.先程の家庭内ネットワークの図に、今回成するオーディオ専用ネットワークを追加した図を描いてみると次の様になるだろう.



A Simple Home Audio Network Plan
2種類のオーディオ専用ネットワークを APU2C4 を介して作成することを想定した論理構成図

何故2種類のオーディオ専用ネットワークを作成するの?というツッコミを入れたくなるかもしれないが、単にAPU2C4のポートが3つ有って使わないのが勿体ないという貧乏性なだけである.無駄にAPU2C4のコンピュータリソースを食い潰すので、最高の音質を求める方々にはお勧めしないが、余計なネットワーク負荷を使わずに極力シンプルな構成(その分手動でネットワークを設定する必要がある)で勝負するmpdクライアント専用ネットワークと、UPnPやOpenHomeベースのネットワークオーディオシステム用に、なるべくゼロタッチコンフィグレーション(プロビジョニング)で簡単にネットワークオーディオ機器を設置可能となるように工夫した便利系オーディオネットワークの2本建てにした次第である.


便利系オーディオネットワークに関してはまだ実装できていないので、何処まで簡単になるかやってみないと分からないが、普通のMac/Linux(UNIX)系のコンピュータスキルとそれなりのネットワークに関する素養があれば、何とか自分で設定出来るように噛み砕いて説明してみたいと思う.


長くなりそうなので、実際に実装する手順等は次の記事で解説することにする.前回アナウンスした、SMB/CIFSファイルサービスはやっぱり鬱陶しいので、実装するのは止めておきます.私は殆どWindowsを使わないし、SMB/CIFSに関しては音質的には何のメリットもないので、敢えてネットワーク汚染源を作り出すことは止めておくことにする.


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