平地の分水嶺(山形県堺田)


Date/Time: 2020:11:14 15:44:33
Camera: RICOH
Model: GR DIGITAL 4
Exporsure Time: 1/160
FNumber: 2.5
Aperture Value: 2.6
Focal Length: 6.0

Close

y2blog » 既成品オーディオアンプのプチ改造(平衡入出力化)

8

15

2021

既成品オーディオアンプのプチ改造(平衡入出力化)

安価なオーディオアンプにバランス入出力インタフェースを加える


ONKYO CD Combo Amps
今回は手持ちの複数台のレガシーアンプを改造してマルチチャンネル用の改造を行った


世間話


誰もが予想していたCOVID-19感染者の爆発的な増加が続いているが、皮肉なことにお盆休み期間の大雨の影響もあってか、市中の人手は多くはないようだ.本日午前中に2回目のワクチン接種を受けてきたが、1回目と比べて接種会場でのスムーズな進行に受付からほんの15分ほどで会場を後にすることができた.医療関係者や自治体の関係者の皆様方に謝意を表したい.


オリンピックで馬鹿騒ぎをしていた救いようない大馬鹿さん達も、祭りの後の空しさと共に迫り来るCOVID-19の恐怖に多いに反省して貰いたいものだ.その昔、どこかの国の法務大臣か誰かが、『この程度の国民には、この程度の政治』という名言を吐いた事を思い出した.この国のどうしようもない間抜けな政治を支えているのは紛れもなく、この国の国民自身であることを肝に銘じるべきだろう.


次の衆議院選挙では、貪欲で自己中心的な呆け老人共が支配している体制を変える又とない機会だが、相変わらず周りの雰囲気に流され続けている人々の振る舞いを見ていると殆ど期待できないのだろうな...


マルチチャネルオーディオの自作の試み(その ?)


少し横道に逸れてしまったが、久しぶりのオーディオ関連の記事を書いてみようと思う.以前からI2Sインターフェスを用いたマルチチャネルオーディオDACの自作に関する話題を取り上げて来たが、ようやく少しまとまった時間が取れたので、ここ暫く放ったらかしになっていたマルチチャネルオーディオDACの制作を一寸だけ進めてみた.


今回は、マルチチャネルオーディオDACそのものではなく、その周辺の関係機材を少し整備しようという話だ.マルチチャネルオーディオを実現する上で、一番問題になりそうなのが、マルチチャネルアンプの準備だろう.世の中の殆ど大部分のオーディをアンプは単純なステレオアンプか、お金持ち向けの超弩級モノラルアンプだ.純粋なオーディオアンプのマルチチャネル対応機種は皆無で、超弩級のAVアンプシステムの一部がプリ部とメインアンプをセパレートにした機種を出していたくらいだ.


勿論、貧乏人の私にはこのような超弩級の市販システムとは無縁で、何十年も前のプリメインアンプやヤフオクで安く仕入れたオンボロ機種しか持ち合わせていない.オンボロ機種なので何の躊躇もなく自分で好き勝手に手を加えることが可能だ.専用のマルチチャネルアンプを自作するという手もあるが、現在ではアナログディスクリートアンプを組むだけのパーツの入手も困難で、昔のオーディを制作記事に載っていたような自作オーディオアンプは諦めるしかない.


今回は、安物のプリメインアンプにバランス入出力回路を追加して、ついでに簡易BTLアンプ化も試してみた.バランス入出力回路はうん十万円クラスのオーディオ用機材には備わっていることが多いので、『バランス入出力 = 高級機』というイメージがあるかもしれないが、プロオーディオの世界では古くから使われている枯れた技術で、プロオーディオと称する機材でこのバランス入出力に対応していない物はないというくらい極々一般的な物だ.


世の中のオーディオマニアの中には、『バランス入出力 = 高音質』という間違ったイメージを持っている様だが、単純に高級機材だからそれなりに音が良い?というだけの事だろう.プロの機材がバランス入出力なのは、単純に使用される環境が多様で、コンサートホールのステージや各種スタジオ、屋外など何十メートルもケーブルを這わせなければならないような場面が多いからだ.


つまり、『バランス入出力 = 高耐環境(ノイズに強い)』というのが本来の特性だ.大昔、まだ高校生の頃、学校の放送機材を改造して、民生用のオープンテープレコーダ(確かSONYの業務用)に無理矢理タムラのオーディオ用小型マッチングトランス(TK,THS,TDシリーズなど)を組み込んだ事を思い出した.当時はラジヲデパートB1Fの野口トランスで簡単に入手できた.値段も1個2〜3千円程度で購入できたような記憶がある.


当時の私のストラトキャスターもどきのギターにも、THSシリーズのトランスを介して、バランス出力化の改造を行い、ギターアンプの手前で再びハイ・インピーダンスのアンバランス化を行い、ステージ上のハムノイズ対策を行っていた.


このトランス変換による平衡回路化のもう一つの利点として、ギターとアンプの間を絶縁することが簡単に実現可能だ.コンサートホールのステージ環境では機材の電源環境も建物からの給電だったり、電源車からの給電などが用いられており、機材間のグランド電位やループの問題、アース(接地)電位の問題常につきまとう.トランスによる絶縁を施すことによって、感電事故等を防ぐことが可能になる.


最近はあまり聞かなくなったが、過去にはステージ上の感電事故でミュージシャンが死亡するんどの痛ましい事故も起きている.トランスによる音質劣化の影響よりも、グランドやアースに起因する問題を回避することが可能になるので、プロオーディオの世界では今でもトランスが積極的に使われているんだろう.


当時の○○放送協会色カラーの塗装が施されたタムラのトランスは、音質(特性)よりも耐久性に重点が置かれていたので、高級オーディオとは別の世界の物だった.グレーの協会色カラーの筐体が何処となく高信頼の製品の証みたいなところがあった.尤も、今の○○放送協会は特定の政権に忖度するような報道を繰り返し、如何わしい完全な反社会的勢力と化してしまっているが...


バランス・アンバランス変換の手法


昔のオーディオ機材ではバランス・アンバランスの変換は殆どがタムラなどのオーディオ用小型マッチングトランスを介して行われていた.勿論、ディスクリートアンプなどで平衡回路を構成する事も可能で音質面や性能ではこちらの方が有利なのだが、プロの現場では何よりも信頼性や耐久性が重視されるのでトランス以外選択肢は無かったと言っても良いだろう.勿論、今ではタムラ製のトランスは製造中止(?)で手に入らないが、スウェーデンのLundhal社のオーディオ用トランスは今でも盛んにLINNなどの高級オーディオやプロ用機材で盛んに使われている.


私は出来れば、バランス・アンバランスの変換にはトランス主体で行いたいが、やはり1個1万円〜2万円程度もする高級トランスは中々手が出せないでいる.仕方が無いので、今回は安価なTexas Instruments(TI)のオーディオ用のIC(特殊OPアンプ)を用いて、バランス・アンバランス変換を行うことにする.


今回用いたのは、TIのオーディオ差動ライン・レシーバIC INA137とオーディオ平衡型ライン・ドライバ IC DRV134の組み合わせだ.見た目は普通のOPアンプなのだが、オーディオ用の平衡ライン専用のICとして設計されており、高CMRR(同相ノイズ除去比)、低歪み率、低インピーダンス負荷(600Ω負荷時最大17Vrms)など、最初からプロオーディオ機材を意識した設計となっている.


自分で汎用OPアンプ数個を組み合わせても同じような事は可能だが、このオーディオ差動ドライバ・レシーバICを使うことで、殆ど外付け部品無しで簡単に高性能な平衡回路信号の受け渡しが可能だ.値段も1個数百円程度なのでトランスに較べて圧倒的に安い.


これらのICの詳細はデータシートを参照して貰うとして、ドライバICとレシーバICをこのような形でつないで、平衡信号伝送を行うことになる.


 ・DRV13x Audio-Balanced Line Drivers

 ・AUDIO DIFFERENTIAL LINE RECEIVERS


DRV134/INA137の組み合わせによるオーディオ帯域の平衡信号伝送イメージ
【DRV134のSenseピンの10μF(NP)は通常不要:単純に(#1,#2ピン)(#7,#8ピン)をショートして使う 】

TIのデータシート “DRV13x Audio-Balanced Line Drivers” より引用


Pin #2(-)、#3(+) を入力にすると G=1/2 となる

INA137 DoubleGain Circuit
Pin #5(-)、#1(+) を入力にすると G=2 となる

TIのデータシート “AUDIO DIFFERENTIAL LINE RECEIVERS” より引用

送出側のDRV134のゲイン(増幅率)は +6dB(2倍)で、受信側の INA137の増幅率は -6dB(1/2倍)または +6dB(2倍)を選択可能だが、通常は -6dB を選んで、送出側と受信側とで帳尻を合わせることになる.


データシートの内容からも解る通り、外付け部品として必要(推奨程度)は+/-電源ピン廻りのバイパスコンデンサ(1μF程度)ぐらいで、後は、必要に応じて入出力側に適当な終端抵抗をかます程度で済む.



INA137 Receiver Board
バランス入力・アンバランス出力用変換基板(ピンヘッダはグランドリフトスイッチ接続用)


Driver & Receiver Board
こちらはバランス入力・アンバランス出力 & アンバランス入力・バランス出力 変換基板




既成品のアンプにバランス入出力用の基板とコネクタを取り付ける


今回改造を行ったのは、何れも今は亡き”ONKYO” のCDレシーバ型の製品で、FR-435 2台、 CD-555 1台だ.今回は手持ちのストックパーツの関係で、この3台だけだったが、今回改造を見送った残りの FR-435, Marantz PM-17SA、 YAMAHA R-N602 についても同様な改造を施す予定だ.


先ずは、メインで使っている Marantz PM-17SA を下調べで中を覗いてみることにする.こちらも相当年代物のプリ・メインアンプだが、何度か故障に見舞われたものの、だましだまし補修を重ね現在も現役で活躍して貰っている.


PM-17SA Pre-Main Amp.
バックパネルの空きスペースは殆ど無い


PM-17SA Inner Layout
内部は巨大なトロイダルコア電源トランスと電解コンデンサがど真ん中に鎮座している


思ったよりも空きスペースが無い.このクラスとしては圧倒的に薄型の製品なので内部に余裕は殆どない.バックパネルの空きスペースが無いので、コネクター類を追加するには電源のアウトレットコンセントを取り外すしか方法はなさそうだ.今回は時間が無いのでPM-17SAの改造は見送ることにした.


次に、難易度が高そうなCR-555の中を開けて構成や部品配置を確認してみる.小型の製品だけあって、中身のレイアウトはかなり慎重に設計されているようだ.想像していた通り、空きスペースの確保に苦労しそうだ.幸いなことに、バックパネルにキャノンコネクター2個を取り付けるスペースと、INA137レシーバ基板を取り付けるスペースも確保できそうだ.


INA137レシーバ基板用の+/-電源を確保しなければならないが、メイン基板の上部に、78M12/79M12 の2つのオーソドックスな三端子レギュレータが有ったので、これをそのまま使わせていただくことにする.

バックパネルの穴開けは、キャノン(ノイトリック)コネクタ用の丸穴を開けなければならないが、とりあえず1.0mm厚の鉄板に宝山のシャーシパンチで果敢に挑んだ.このシャーシパンチを使って人力で穴を開けるには、この1.0mmの鉄板が限界だろう.アルミだと2.0mmくらいまでは何とかなりそう.ノイトリックのコネクターは真円ではなく、出っ張りが数カ所有るので、綺麗に穴開けを行いたい場合は、少し小さめの穴を開け、ハンドニブラーやヤスリでチョコチョコと削って行くしか方法はなさそうだ.



CR-555バックパネル
シャーシパンチでの鉄板の穴開けに四苦八苦


Main Audio Board and Remaining space
基板の配置スペースと電源の確保の目処がついた


Separate the Main Boards
メインボードを取り外して作業スペースを確保


Main Board
メインボードの表面の様子

Digital I/O Chip
デジタル系のI/OチップにはメジャーなTI PCM9211が使われていた


Attach the board
レシーバ基板を取り付け電源系の配線を行う


Top View
バックパネルを取り付けて位置関係を確認する


Ouch!  Conflicting the Space.
失敗!!! ケースカバーとキャノンコネクタが思い切り干渉してしまった


同様に、ONKYO FR-435についても改造を施すことにする.FR-435は私のお気に入りの機種で、発売当時に1台を購入し、その後ヤフオクで3台ほど中古品をゲットしている.故障したら4台の機種からパーツを取り出し、何度も構成を組み直しているので今では全く原型を留めていない.こちらはそれなりに空きスペースがあるので改造は容易だ.



FR-435 Main Board
FR-435の内部は広々としていて改造作業が容易だ


Sound Check
バランス入力、出力に周辺機器をつないで音出しチェック


My Custom CD Receiver Amp.
今回改造した3台を相互につないで動作確認



今回は、3台ともBTLアンプとしても使えるように改造してある.元々BTL構成を想定したアンプ回路の設計になっていないので、今回の構成で実用に耐えるBTLアンプとなっているかどうかは甚だ疑問だ.安易なBTL化はアンプやスピーカーを壊してしまうのでお勧めはできないが、BTLの関心のある方は自分の責任で改造を試みて欲しい.今回は LeftチャネルのAUX-Inputの位相を変えて(#2, #3ピンを入れ替えて)そのままRightチャネルに逆相の音を加えているだけである.


この記事を書いている最中に、ワクチンの影響によると思われる微熱が出てきたので、今夜は早めに就寝することにしよう.明日は仕事はお休みかな.1回目は肩の筋肉痛程度で済んだが、世間で言われているように2回目のワクチン接種は副作用の可能性が非常に高いようだ.


Calendar

May 2024
S M T W T F S
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  
  • Blogroll

  • Meta