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2014
大峯奥駈道(治経ノ宿→前鬼宿)
治経ノ宿→太古の辻→前鬼宿[ 3日目: 5/4 2014 ]
夜明けと共に同宿の人達は次々に熊野本宮方面を目指して出発して行った.私は今日は前鬼宿までの短距離なのでゆっくりしていた.まだ雨は降っていなかったが、辺り一面ガスっていて何時雨が降り出してもおかしくない状況だった.小屋番をしてくれたYさんがホラ貝を吹いて見送ってくれた.
阿須迦利岳、証誠無漏岳という仏教用語に因んだと思われる難しい山の名前が続くが、ガスで周りの景色は良く分からないので単に通り過ぎるだけだ.途中世界遺産の標識の石柱が倒れている箇所が幾つか有ったが、どうやら標識設置を請け負った自治体によるずさんな発注のため、きちんとした埋設工事が行われずに簡単に倒れてしまったのだと言う.この地域の世界遺産のこの石柱標識はハッキリ言って登山やハイキングにあまり役に立つような代物では無いので倒れていた所で大した影響は無いが、やはりみっともないので撤去するかちゃんと役に立つ標識に付け替えて欲しいところだ.
アップダウンはそれ程きつくはないが、ニセピークが幾つもあってぬか喜びさせられるのでちょっと気が滅入る.涅槃岳あたりから雨足が強くなり、カメラが濡れないようにザックにしまい込む.雨自体は土砂降りという訳ではないが、登山道の周りは木々の枝で覆われている箇所が多く、藪漕ぎすると濡れた木々の枝で全身びしょ濡れになってしまう.
天狗山の手前辺りで行者姿の単独の若者とすれ違ったが、この行者姿の若者は降りしきる雨の中を軽快に駆け抜けて行った.現代の最新の装備による登山スタイルとは明らかに一線を画す行者装束での山行は一見厳しそうだが、実は非常に合理的な山行スタイルなのだろう.近代的な装備に頼りすぎる軟弱な現代人の姿が何となく滑稽に思える.
大峯奥駆では余計な物を持たずに必要最小限の装備で済ませると言うことが如何に重要かと言うことを痛感させられた.四国歩き遍路でも同じ事が言えるが、どうも我々は日頃から余計な物を抱え込みすぎているようだ.山道具も断捨離が必要なようだ.
太古の辻という場所で奥駆け道を離れ前鬼へ向けて深く急峻な谷沿いの道を下って行く.階段状の道が多く重量級の荷物を背負った身にはかなり堪える.雨に濡れた滑りやすい岩場を下るので、いつもより倍の時間が掛かってしまったが、ようやく小仲坊に着いた時にはホッとした.午後2時前に着いたときにはまだ誰も到着しておらず、だだ広い道場のような宿泊所に私一人だった.
夕方になると弥山から来た人達で宿泊所はほぼ一杯になったが、小仲坊のご主人の話では連休最終日の前夜なので、これだけの人が宿泊しているが普段はもっと少ないそうだ.
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